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2010年3月 1日 (月)

エンドレスエイト考

 唐突だが、昨年、物議を醸したアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンドレスエイト、このまま終わってもいい話なのだろうか? 話としては、無事に9月1日を迎えることができたから、めでたしめでたしなのかもしれないが、本当にその状態で終わっていいものだったのか? もっと言えば、ハルヒが15532回(アニメ換算)も夏休みをやり直してまでやりたかったことが、「みんなで一緒に宿題をする」というもので良かったのか。

 そう、多くの人間が夏休みの宿題こそがエンドレスエイト脱出のカギであり、ハルヒがやり残したことはみんなで宿題をすることだと誤認しているのである。恥ずかしながら、つい最近まで自分もそう考えていた。
 「みんなで宿題」は決して、エンドレスエイトの脱出の答えではないのである。何故なら、アニメでも原作でも8月31日にハルヒがみんなと宿題をやっている描写はないから、原作から引用すると、「ずっと俺の妹と遊んでいた」(涼宮ハルヒの暴走81ページ)としか書いてない。15532回も繰り返してまで待ち望んでいた、みんなと一緒にやる宿題をやっていないのである。
 「みんなで宿題」がエンドレスエイト脱出の鍵ではないとしたら、一体何が本当の鍵だったのか。それは、15532回目の8月31日に答えが隠されている。というよりも、残されている答えは、「キョンの家に行く」という行為そのものだったとしか考えられない。つまり、ハルヒが本当に欲しかったのは、キョンの家に行く口実だったのである。
 エンドレスエイトの真相、それは好きな男の家に遊びに行くのに600年近くもかかった少女の話だったのである…。

 それにしても、何故、多くの人間が宿題が脱出の鍵であると誤認し続けていたか。
 それは、古泉によるミスリードとそれを簡単に信じたキョンの視点で物語が描かれていることに由来する。
 ミステリーなどでは、「信頼できない語り手」というものが存在する。語り手の一人称で物語が語られているにも関わらず、何らかの意図で事実を捻じ曲げるなどして物語を語る語り手のことである。有名なところでは、アガサ・クリスティの「×××××××」が挙げられる(まぁ、一応伏せた方がいいのかな?)。語り手自身が殺人事件の犯人のため、自分に不利になる情報を伏せているのである。
 では、キョンは涼宮ハルヒシリーズにおいて、何を捻じ曲げているのか。それは、女性陣の自分に向けられている好意に気付いていないことである。たしかに、無表情のはずの長門の微妙な変化に気付くなどの鋭い観察眼は持っているかも知れないが、その変化の意味には全く気付いていない(例え、胃が痛くなっても)。
 だから、古泉のミスリードに簡単に引っ掛かり、読者をも巻き込んでしまう。

 古泉が何を思ってそんなミスリードを仕掛けたのかは謎である。この時点でハルヒの好意をキョンに認識させるのが得策でないと判断したのか、単にハルヒの好意に気付かないキョンにいたずらをしただけなのか。ハルヒに告白をしようと冗談を言った時にアニメにすら出なかったキョンの顔を見ている古泉なら、後者の方のような気がしなくもない。

 邪推だが、エンドレスエイトを8回も繰り返した理由の中に、原作者自身が、自分の仕掛けたミスリードから抜け出せない多くの人間に真相に辿り着くキッカケにして欲しかったというのもあったのではないだろうか?

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