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2010年9月 4日 (土)

真・エンドレスエイト考2

 では、作者がエンドレスエイトと同じ叙述トリックを解説したエピソード「涼宮ハルヒの憤慨」の「編集長☆一直線!」を検証してみよう。
 その中でキョンが書いた恋愛小説こそ、エンドレスエイトと同じような叙述トリックを駆使したものである。
 叙述トリックというとミステリーで使われるものと思いがちだが、叙述トリックの第一人者の綾辻行人さんも「叙述トリックが使われるのはミステリーに限ったことではなくなっている」と言っていたように、キョンは恋愛小説に叙述トリックを持ち込んだのである。

 キョンが恋愛小説で行った叙述トリックとは、デートした相手であるミヨキチこと吉村美代子の素性を直接描写しないことで、ミヨキチが妹と同級生の小学生であることを隠したものである。しかし、古泉に指摘されたことで、オチの部分を書き加えることを決めたようだが、劇中でも古泉が見破ったように※の部分に注目すれば、オチは無くてもミヨキチの正体が推測可能である構造になっている。
 エンドレスエイトと同じ構造とはまさにこのことで、オチになる部分、エンドレスエイトで言えば、ハルヒがやり残したモノが何だったかを直接書かなくても、理解することはできるということである。

 ところで、キョンの恋愛小説にはもう一つの叙述トリックが仕掛けてあるのに気付いてるだろうか?
 それは、エンドレスエイト同様に「涼宮ハルヒシリーズ」自体に仕掛けられた叙述トリックの賜物である。
 涼宮ハルヒシリーズはキョンの一人称視点で物語は進行する(唯一の例外こそ、アニメの「サムデイ・イン・ザ・レイン」)。キョンの一人称で物語が進行するということは、キョンが認識できないものは本文に反映されることがない。「姑獲鳥の夏」で関口が目の前のあるモノを認識できなかったように、キョンは女性の自分への好意が認識できない(憂鬱のラストでハルヒに新世界に旧世界からただ一人連れて来られた時点でさぁ…)。

 結論から言えば、ミヨキチはキョンに好意を持っていて、本当はデートがしたかっただけである。
 上映中のB級ホラー映画に出てる俳優で小学生が好きになる俳優って誰が浮かぶか? デートに誘ってるだけということがバレないようにキョンを映画に誘う方便だったのだろう。それから、映画の後に寄った喫茶店、描写からしてデートの定番コースではないのか。
 最終的に、小説を読んだハルヒが結末部分を書いた原稿を寄こせとキョンに襲いかかるのがオチなわけだが、古泉が気付く程度の叙述トリックにハルヒが気付かないわけがない(孤島症候群でも分かるように、ミステリーに関してはそれなりの知識もあるようだし)。
 つまり、あの時のハルヒは小学生(当時)相手に本気で嫉妬してたわけである。

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